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2023年03月04日

人の心を動かす営業テクニック5選

人の行動や感情について科学的手法で研究する心理学は一見日常生活に無縁と思えそうですが、私たちは常日頃から心理学に触れています。

実際、多くの営業マンは無意識のうちに心理学的テクニックを営業に活用しています。

 

心理学を理解することで、今まで気づかなかった顧客の気持ちの変化に気づけるようになり、より有益に商談を進められるようになります。

そこで今回は、商談などの営業活動で使える心理学テクニックを厳選して5つご紹介します。

 

1.行為の返報性

好意の返報性とは、相手から「好き」や「信頼している」といったアプローチを受けると、同程度の好意を返したくなる行動原理のことです。

好意を向ける方法はシンプルです。たとえば、商談相手の持ち物を褒めてみましょう。身だしなみに気を使っている方はファッションアイテムにこだわりがある傾向があり、これらは好意を伝えるきっかけになります。「素敵な○○ですね。どのようなブランドなのですか?」などと話題にすると良いでしょう。

最初の挨拶でいかに相手の警戒心を解くかもポイントとなります。

ただし、わざとらしい好意の向け方や恩着せがましいアプローチは、却って印象を損ねるおそれがあるためNGとされます。好意の返報性はあくまでも人間の本能に訴える行動原理です。お返しを前提としたアプローチに返報性は働きにくいことに注意しましょう。

 

2.ハロー効果

ハロー効果とは、対象の特徴的な部分や功績に着目し過ぎてしまい、評価に偏りが生じる心理現象のことです。社会心理学でいう「認知バイアス」にあたり、人間の脳が持つ偏った思考が要因とされています。

たとえば、有名女優が出演する化粧品のTVコマーシャルを見て「○○さんが使っているから綺麗になりそう、欲しい」と感じるのも、ハロー効果によるものです。反対に、「SNSで炎上した○○さんが使っていたのか……やめておこうかな」といったネガティブ・ハロー効果もあります。私たち人間の脳は、たった1つのポジティブ・ネガティブな事柄により、偏った思考で対象を評価してしまうのです。

ハロー効果は、ビジネスシーンの商談において成約に直結するほど重要です。たとえば、ヨレヨレのスーツを着ていたり、愛想が悪かったりする営業パーソンがいるとします。どれだけ自社の商品・サービスの質が高くても、営業パーソンの印象により「あの会社からは買わない」というお客様は少なくありません。

そのため、トップセールスマンは髪型やスーツなどの身なりを整え、時計・靴・鞄にこだわるのです。

 

3.ミラーリング効果

ミラーリング効果とは、相手の言動や行動を模倣する心理学テクニックです。商談を例に挙げると、同じタイミングで資料を開いたり、飲み物を口にしたりします。ミラーリングすることで共感を呼び、無意識に親近感や好意を抱く心理現象が働きます。

ミラーリング効果のメリットは、短時間で相手との距離を縮めやすいことです。無意識に好意を抱く心理を利用するため、短時間の商談においても相手の懐に入り、本音を引き出しやすくなります。結果的に商談がスムーズになり、成約率向上も期待できるでしょう。

ただし、あからさまなミラーリングは逆効果です。本テクニックは無意識が前提にあるため、「真似をされている」と勘づかれた時点で不快感を与えます。商談開始前の挨拶や会話中など、さりげないタイミングでミラーリングするのがコツです。

 

4.ウィンザー効果

ウィンザー効果は、第三者による情報を間接的に受けることで、提案内容の信頼性・信憑性が高まる心理効果です。そのルーツは、小説作家であるアーリーン・ロマンスの著作「伯爵夫人はスパイ」の台詞にあります。

作中に登場するウィンザー伯爵は、第三者の褒め言葉がどんな時も一番効果があると語りました。以降、口コミやレビューといった第三者の意見に信頼性・信憑性を感じることを、ウィンザー効果と呼ぶようになったとされます。

これはお客様目線で考えると想像しやすくなるでしょう。たとえば、営業パーソンに「自社の○○は素晴らしいですよ」とおすすめされるケースと、「自社アンケートによりますと、自社の○○は○○のお客様からご好評いただいております」と提案されるケースがあるとします。多くの場合、情報の信頼性・信憑性を感じるのは後者でしょう。ただし、注意点もあります。

商談などでウィンザー効果を取り入れるには、自社と利害関係のない第三者から得た情報を提示する必要があります。一般的には、口コミやレビュー、アンケート調査の結果などを用います。ユーザーは自社と利害関係がないため、嘘をつく必要がありません。そのため、提案内容の信頼性・信憑性が高いと感じるのです。

 

5.両面提示の法則

両面提示とは、物事に対する良い面(メリット)だけでなく、悪い面(デメリット)を同時に伝えることをいいます。あえて両面提示することで、提案内容に説得力を持たせることができ、結果的に成約獲得や信頼関係構築につながるという法則です。

営業マンの中には、自社製品・サービスのメリットのみ訴求する人が少なくありません。しかし、お客様はメリットとデメリット、双方を理解した上で導入を検討したいのです。デメリットを隠したまま提案していては、土壇場でトラブルを招いたり、不信感を与えたりする可能性があるため注意しましょう。

 

営業活動において、成績・売上を伸ばすためには、心理学を活用したアプローチが求められます。

ご参考まで。

 

髙橋